「家相など、いちいち気にしていたら家など建たない。」という声を耳にします。しかし、家相を無視して心身の健康が崩れたり、仕事が調子悪くなったならどんなに素敵な家も住む意味はありません。家に住むために生きている訳ではなく、健康で幸せな人生を歩むために家があります。また、家相の怖さはその家の家長だけでなく、住んでいる家族にも影響が現れます。家族の事を考えたら家相はおろそかにはできません。確かに、家族全員の生年月日から家相の良し悪しを判断するとなると制約が多くなる事は事実です。しかし建築の知恵を生かせば、自由度が大きく広がるのが現代家相です。
家相は、快適に住むための「住宅環境学」ではありません。例えば、鬼門。一般的に鬼門に台所は良くないとされています。表鬼門の北東が一年を通しても採光と通風が悪く、いつもじめじめしています。また南西の裏鬼門は、西日が強くて食べ物や水が腐敗しやすい場所です。よって住環境が悪いから凶相だという事ではありません。太陽が東から登って西へ沈む動きによって生じるエネルギーに由来するもので、エアコンを入れたり、冷蔵庫によって腐敗を防いだりすればよいという事でもありません。なぜなら、凶相となる原因は火気と水だからです。
つまり、台所であってもコンロやシンクを避けることで凶相を免れる事が可能で、今の時代には火を使わないIHという調理器具もあります。風呂の給湯器も外部に比較的自由に設置が出来ます。
このように、現代の設備や建築の知恵や技術によって、凶相の原因となるものを避けたり、凶相の程度を軽減することも可能となり、プランニングの幅も一昔前より大分自由度が高まりました。
つまり家相を考える時、家相の本質を見極めた建築の知恵が大切であり、間取りだけで吉凶を判断するプランニングでは住みやすい家にはならないのではないとかと考えています。